オレが物づくりをするときにはいつも親父がいてくれる。

離創協との出会いは?
なぜ一緒にやろうと思われたんですか?

山田 これまでもコンサルタントの方とかいろいろ来ていただいたんですが、あまり具体的な形にならなかった。でも、(離創協の)千野理事長たちは最初に来たときから違った。僕、直感でわかるんですよ、この人やべぇって。で、実際やばかった(笑)。

本当に僕らを思ってくださっているというか、愛がある、そして、結果が残るんですよね。親父もお袋も「千野さんたちはいままで来た人たちとは違うね」って。そうしたらあれよあれよと言う間にいろんな方が来て、将来につながるお話もいっぱいいただいて。

やっぱり千野さんは闘ってきて形を残してきた方なので、その一言一言に重みがある。コンサルタントの示す数字のその先を行かれていると言うか、もともとご自分で経営をされて、人を使われてきた方なので、人の痛みや弱さ、そういうところをわかってくださっている。だから、机上の計算で話されるような人とは、視点が違いますよね。そこが本当に素晴らしいし、僕らは魅かれる。優しさですよね、やっぱり。ここ、理事長に伝えておいてもらっていいですか?(笑)

でも本当に、この島が明るくなったというか。だから島のみんなももっと賛同したほうがいいのになって思います。これは「島の人あるある」なんですけど、よそ者に対して構えちゃうというか保守的なところがあって、そこは離創協さんにとってはちょっと難しいところかもしれない。

でも僕は、五島を知らない方がわざわざ来てくださること自体がご縁だと思うから、それで商売が決まらなくても僕は全然構わない。ただ来てもらって知ってもらって、ふとしたときに五島の風景とか、あそこであれ食べたねとか、寝る前の一瞬オレを思い出して「変なヤツいたな」とか、そうなってもらえれば嬉しいじゃないですか。だから僕らもできることは離創協さんとご一緒したいし、やって無駄なことってないと思っている。むしろ本当に、ありがたいことですね。

いつもお父様と作業を?

山田 はい。でも、従業員の育成もある程度できてきて、任せて動けるような子が育ってきたので、そろそろ会社全体で次のステップ入ってこうかなと考えています。そして、親父はレジェンドというか、黙ってそこで見守ってくれる存在になってくれればと。ただ、仕事が趣味というか、なにかしら海のことをしていたい人なので、良い居場所を作ることができたらいいなと考えています。

オレが物づくりをするときにはいつも親父がいてくれていて、一緒に作り上げてくれる。親父の協力があってこそで、それは本当に大きい。僕は、家族としてここで生活して、息子の代、孫の代と、順送りにこの島に生きつづける、そういうことを大切にしたいという気持ちもあります。親父とは喧嘩もするけど尊敬もしている。面と向かっては言いませんけどね。

離創協 マルオトさんがいいなと思うのは、お父様を尊敬していてお父様のやり方をきちんと伝承していく。お父様にしてもらったことをちゃんと続けていって、それをご自分の子どもの代に送っていこうとしている。そういうところが、マルオトさんを応援したい一番の理由なんです。

山田 子どもは4人いて、一番上が高1の女の子、その下が中1の女の子、3番目が小6の男の子で一番下が小1の女の子です。

いまは次女と長男が跡を継ぐと言ってくれていますが、僕としては何が何でも継いでもらいたいという気持ちはなくて、この島で育ったことを活かすことのできる職のうちの一つとして考えてもらえればくらいの気持ちでいます。この島にいると悲観的になる子がたくさんいるんです。過疎化だし、何もねーしみたいな。でも、海あるじゃん、て。宝の山の海があるじゃん、て。ここだから生活できているし、自分の生きている意味がある。都会にはたまに行けばいいんです。でも都会はカッコいいですからね、憧れる気持ちもわかります。

任せられる従業員の方はどんな方ですか?

山田 彼はこの島の出身なんですけど島のみんなが知っているほどのワルだったんです。でもすごく人に好かれる子で、僕らもそこを大事にしていて、日々楽しく仕事ができたら嬉しいという思いもあっていま任せています。そうしたら、その子の後輩も入ってきてくれて会社も次のステップに入って。僕はできれば従業員とかそういうくくりではなくて、彼らが独立できるような仕組みづくりとかそういうこともしたいと考えています。

従業員ではなく同士というか、島仲間の生産グループみたいなチームが作れたらいいのかなと。僕だって自分が認めない子というか、あるレベルまで来てもらわないとイヤだという堅物なところがあるんですけど、彼らはそれでも頑張ってくれているので、そこは僕らも愛を持って接して。縁あってウチの会社に入ってもらったんだから、みんなハッピーになってくれたら嬉しいですよね。

一次産業って、汚い、稼げない、きついというイメージがあるんですけど、それでもいいんだよって、誇りを持てる仕事にできたらと思っています。子どもたちも父ちゃんの跡を継ぎたいとか、父ちゃんの会社で働きたいとか、そういうふうに思えるように。すぐにはできないですけど、徐々にそうなっていけるように頑張っていかないとと思います。

そのためにはお金を稼がないとダメで、そこが今後の僕らの課題。だから、離創協とのご縁はありがたいです、ほんとに。