一般社団法人 離島振興地方創生協会
理事長 千野 和利
2020年4月長崎県離島の人口減を食い止めるため協会が設立され、食品産業を振興しはじめてはや3年が経過しました。その間のコロナ禍による様々な協会活動への制約に加え、22年度はロシア・ウクライナ問題、未曾有の円安と食材の高騰、異常気象による地球環境の変化等の中で世界における我が国の立ち位置を明確にすることが求められております。
そのような環境下、企業においても同様にSDGsの精神に基づくESG経営・CSV経営が多くの企業で実践されつつあります。22年度は離島振興のためのバリューチェーン(VC)の構築、生産基盤整備、生活基盤整備の3つのフォーマットを創り上げる最終年度でもありました。お陰様で50社近い会員企業の参画と御支援によりフォーマットの原型を創り上げると共に、長崎県から与えられた目標を大幅に達成して参りました。
VCの構築では展示商談会・物産展・商品の増産と刷新・新規商品開発において小売・製造・卸に関わる会員企業の絶大なご理解とご協力のもと着実に仕組みが出来上がりつつあります。
生産基盤並びに生活基盤整備におきましても五島市・壱岐市での農産物、新上五島町での海藻の計画的な増産計画、対馬市では再生エネルギー導入等の複数のプロジェクトを生産者・行政・会員企業・協会が連携し地元主体の持続可能な特産品創りを軌道に乗せつつあります。
これらの命題がコロナ禍にもかかわらず着実に進められ、多大な成果をおさめられたのは会員企業で形成された出口戦略のおかげであります。また、22年9月には協会設立以来はじめてのリアルな総会と懇親会を盛会のうちに開催させていただき、ご参加の会員の皆様方には協会活動について多少ともご理解いただけたのではと感じております。
最後に、様々な環境変化の中で食糧問題が安保上の最大の課題の一つであることが認識されつつある中、小規模ではありますが離島において食品産業の振興に小さな波動を起こしつつあることは喜ぶべきことと思います。いつの日か日本各地で大きな波動になることを願っております。