(株)ニチレイフーズ から、五島の食材を原料とした新しい冷凍食品が誕生します。その名も「長崎五島産のブロッコリー」。五島の自然の恵みを浴びて育ったブロッコリーを、冷凍加工技術でおいしさも栄養価もそのままにご家庭へ。今回は商品開発に携わられた、(株)ニチレイフーズ商品開発部農産調達グループ伊豫田 秀宣様に、商品誕生の経緯やご苦労話、これからの抱負などお話を伺いました。

今回開発された「長崎五島産のブロッコリー」が生まれた経緯は?

まずは離島の活性化、つまり、離島に人が住みつづけて営みがなされ、継続的に活動していくことが非常に重要であるとの思いがあります

とくに今回お世話になる五島列島をはじめ壱岐、対馬は特定有人国境離島地域にも指定されていて国策の中でもとても重要な地域です。なおのこと人が住みつづけられなければならない。そのために必要なのは、地域で経済が回ることです。

そのような現状と課題がある中で、離島振興地方創生協会(以下、離創協)からお声がけいただいて、ニチレイフーズとして離創協の理念や活動に賛同しご協力させていただいている、そこが入り口です。

離創協が設立された年の2020 年3月 に五島の産地を訪問し、いろいろなお野菜を視察 させていただきました。ソラマメやスナップエンドウ、マンゴーなどもあったと記憶していますが、その中で生産基盤づくりとしての食材を考えたとき、ニチレイフーズではサツマイモとブロッコリーに焦点を当て、第 1 弾として「冷凍焼きいも」を世に送り出しました。そして今回第2 弾として冷凍ブロッコリーが生まれたという背景があります。

「長崎五島産のブロッコリー」開発のご苦労や、
嬉しかったお話があれば聞かせてください。

冷凍用のお野菜は「業務加工用原料」という扱いになるのですが、長崎五島には生鮮を栽培する生産者が多く、出荷方法の違う「業務加工用原料」を栽培してくれる生産者の 方を探すことが最初の壁でした。最終的には離創協を通して、いきいきファームさんとご縁ができました。

もう一つ必要なのが冷凍加工ですが、こちらは五島の島内にはありませんでしたので長崎県の農林部さんに探していただいた結果、雲仙市にある丸宮青果食品さんが生産拠点となってくださいました。

このように原料と工場、どちらもみなさんにご協力いただきながら作り上げました。生産体制のスキームづくりが今回の一番のポイントです。

美談は何もなくて(笑) 、でも知っていただきたいのは、冷凍野菜は素材の良さが 勝負なんですが、近年、気候変動が大きくておいしい盛りの収穫が難しい。たとえば今回のブロッコリーだと、植え付けを予定していた日に台風が来たり、予定の収穫時期になっても寒さのため育ちが遅くて収穫できる大きさになってなく、かと思うと急に暖かくなって今度は収穫を急がなくてはいけないなど がありました。

このような難しい問題を、いきいきファームさん、丸宮青果食品さんと協力 しながら克服したときには達成感はひとしおでした。

「長崎五島産のブロッコリー」は、ほかとは味が違いますか?

五島で育つお野菜はみんな、海風を浴びて育ちます。くわえて、いきいきファームさんでは島周辺の海水を混ぜた水を散布し、島のあらゆるところに自生している椿の油を絞ったあとの、実の搾りかすを天然の肥料にして育てています。個人的には非常に美味しいブロッコリーだと思います。

これから協会、離島と一緒に取り組みたいことをお聞かせください。

旬の食材をいち早く冷凍にすることで、おいしさも栄養価も年単位で保つことができます。何千キロも離れた産地のものも届けることができる。時間と空間のギャップを埋められるのが冷凍技術の利点です。

離島や地方の豊かな食材と、冷凍食品業界のリーディングカンパニーとして日本の食に長く携わらせていただいている弊社の持つ冷凍加工技術で、よりおいしいものを幅広く生活者の皆様にお届けできたらと思います。

ニチレイフーズの企業コンセプト「くらしに笑顔を」そのままに、みなさまに笑顔になっていただけたら嬉しいです。