取材先:ごと 株式会社
木下 秀鷹(代表)、清水 優友(販売本部本部長)
商品:㈱ニチレイフーズの「冷凍焼きいも」

❶冷凍焼き芋の商品化に至った経緯は?

代表)最初はニチレイフーズ様が協会からのご紹介でお越しになって、離島振興のために何か協力出来る事はないかという話しからでした。ちょうどそのタイミングで、五島を訪れ、「ごと芋」の存在を知り、非常に美味しかったということから、商品化することになりました。

代表)一番苦労したのは、品質を確保することですね。日本一の大手メーカーなので、求められる品質も日本で一番高い水準が求められたので、そこに合わせていくために品質担当と話をしながら進めました。とくに、製造工程を増やさなければいけなかったのは、大変でした。製造現場とも相談しながらでしたね。

清水さま)現場に落とし込むために、今まで経験したことがないプロセスが生まれたりしたのは現場の苦労だったと思います。具体的には、食品安全を高めるための金属探知機のオペレーションであったり。どうやって効率よく流していくかというのを、やり方を工夫しながら行いました。

代表)商品化までの期間がだいぶ早かったです。昨年の7月に訪問されてから9月には収穫して、12月には商品化というスピードで実現しました。現場はよくやってくれたと思います。

❷どんな反響がありましたか?

代表)品質は当社がこれまでやってきたものにプラスしたことで、非常にクオリティ高いものができたと思います。また、ニチレイフーズ様として初めての冷凍焼き芋の商品化でしたが非常に美味しいものができたというお話しを頂いております。

清水さま)今までは、通販がメインの販路でしたが、ニチレイフーズ様の場合は、スーパーでも販売しているので、違う販路ができました。(※当該商品の販売先及び数量は限定となります)

代表)また、五島の他の方々からも、ニチレイフーズ様の品質管理に対応できるのは、「ごと」しかないんじゃないかと言われました。ある意味、全国に向けて五島の中でもできる!ということを伝えることができたと思う。

❸なぜごとの芋が選ばれたのか?その秘訣は?

清水さま)美味しさの秘訣は、土づくりをすごく大事にしているところです。農薬や化学肥料をつかっていないことです。効率は悪くなりますが、畑に負担をかけていないという点は、一番こだわっているところです。

代表)どの工程にもすべてこだわりがあります。畑づくりへのこだわり。収穫したあともすぐに製造し始めるのではなく、40日間寝かします。倉庫は温度13~15度、湿度は約90%と決めています。熟成させて、さらに糖度検査も実施し、何度も検査を繰り返しています。その次の焼く工程も、15年以上経験のある職人がいて、食べて確かめています。糖度だけよくてもダメなんです。みんなで食べて、5段階評価でランクをつけて、クリアしたものが初めて出荷できるようになります。さらに、特別な冷凍技術によって、レンジでチンしたときにも美味しくなるように、最後の包装まで徹底してこだわっています。本当によいものを商品化したいので。それが最終的には美味しさに繋がっていると思います。あとは生産から加工まで、全部をこの五島でやっているというところも強みです。

❹協会と関わって、どのような点がよかったですか?

代表)大手のメーカーとのOEMが実現できたことですね。日本一のメーカーの基準を確保することができたことは大きいです。また、展示会(FSSF)に連れて行っていただいたことも非常に可能性を広げてもらったと感じています。とくに千野理事長は、個人的に大好きです(笑)。経営者の先輩としてためになる話をいただいています。

清水さま)五島の中で、お芋をつくっている生産者の人たちと横の繋がりがあまりなかったんです。協会を通じて、生産者の会などに呼んでいただき、意見交換をしていく中で、生産者同士のつながりが増えたかなと思います。

❺今後、取り組みたいことはありますか?

清水さま)今までは焼き芋中心でしたが、加工品のラインナップを増やすため、さらにお芋を活かしていきたいと思っています。形が悪いものや崩れているものを、例えばスイーツにするなどを挑戦してみたいです。その第一歩として、まずはスイートポテトをリリースしました。

代表)日本一美味しいさつまいも屋さんになりたいですね!日本一=世界一かなと。「ごと」のこだわりは妥協せずにいたいです!

清水さま)また五島でやりたいこととして、一番は生産者同士みんなで貯蔵庫をシェアできたらいいなと思っています。うちの貯蔵庫も、規模拡大しようと思ったら小さくて。設備投資は先にしないといけないので、その負担をみんなでシェアできると一番いいなと思います。農機具なども先に投資しなければいけないものを、みんなでうまくまわして活用できたらいいなと思います。そうして、お芋をつくろうという人も増えるといいなと思うんです。

代表)芋も大事ですが、うちの売り上げでいうと、最近はレトルトカレーのOEMも増えてきています。コロナによる飲食店からの需要や、巣ごもり、防災の需要も高まっています。レトルト加工のプロジェクトも、お芋も、シナジーが生まれるようにしていきたいなと思っています。また、防災の観点ですと、ちょうど当社も昨年、五島市で災害が起きた場合に優先的に物資を提供する締結をしました。五島に本社を置く当社の義務として、五島のお役に立っていきたいなと思っています。