【会社名】株式会社浜口水産
【住所】〒853-0201 長崎県五島市富江町富江357-230
【主な事業内容】魚肉練り製品製造業【HP】こちら
【取材先】濱口正秀(代表取締役社長)


大漁時の魚でつくったすり身揚げが今の礎

――どんな事業をやっていますか。

魚をすり身にしてつくる練り製品や、すり身を揚げた揚げかまぼこ「五島ばらもん揚げ」等の商品づくりです。近年では、サスティナブルな漁業への貢献を目指し、未利用魚を原料にハーブや胡椒で風味をつけた「フィッシュハム」の生産もしております。

創業は昭和14年で、現在が4代目になります。当時かつお節製造の傍ら、鮮魚の仲買・行商の元締めをしておりました。大漁時の魚を、冷凍・冷蔵技術がない当時の工夫として、すり身やすり身を揚げて揚げかまぼこにして一緒に販売するようになり、それが現在にいたっております。

五島で水揚げされる魚介類で練り物をつくる

――生産にあたり、素材や製法・工法へのこだわりがあれば教えてください。

五島で獲れた魚で加工にまわってくるものはすべて利用し、「五島生まれ」にこだわっています

具材についても、「五島生まれ」にこだわりたいです。例えば、お客さんからかまぼこの具に枝豆を入れてほしいという要望もありますが、枝豆は中国産が多いし、五島ではつくっていません。使用する野菜に関しても五島産にこだわりたいです。

また、加工には向かない廃棄してしまう魚も、鮮度の良い状態で加工して美味しく食べられるような努力もしています。さらに、大漁時のアジやイワシ、トビウオなどの青魚も、市場でさばき切れない分は、うちに回ってくるようにし、契約価格で買うことで、漁業者と良い関係を続けております。

ひとつひとつの丁寧な手作りが美味しさの秘訣

――どういう風に食べてもらいたいですか?

何もつけずに、素材の味を「そのまま」味わってほしいです。ひと味ほしいときは、塩がおすすめです。普通のかまぼこと違い、歯ごたえがしっかりしているのがうちの特徴です。

そのために、魚をさばくための機械化はしても、ひとつひとつの作業は丁寧な手作りにこだわりこの手間なくして美味しい商品はできないという信念があります

五島の産業を盛んにして地元に潤いの循環を生み出したい

――もっとみなさんに知ってほしいことはありますか?

五島は島なので、輸送コストがかかるというハンデがあることを知ってもらいたいです。

また、独自の取り組みとしては、会員向けの『五島倶楽部通信』という会報誌をつくっています。会員は全国に約8000人。五島の風物を伝えたり、商品に限らず、五島のことを伝えるために発行しています。

――最後に社団に期待することがあれば教えてください。

五島で作ったものを島外へ販路を広げて販売できると嬉しいです。そうして地元の加工者や生産者に潤いの循環を生み出していきたい。五島の産業が盛んになることで、五島から本土へ出ていった人たちが戻ってきて働くことができるように。人で活気を生み出したいと思っています。